【薬局経営指南】 第7回  調剤薬局会計について(続)Ⅲ

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薬局開業・新規出店後の資金調達や今後の店舗展開って?

今回は資金調達について考えてみます。資金調達も調剤薬局の成長ステージによって手段が変わってきます。まず、開業時の資金調達ですが、これは通常の薬局開業でも他業種の起業と条件はほぼ変わりはないと思った方が得策です。

ご自身で薬局開業をすると分かると思いますが、起業したての頃は世間からの信用(金融機関、医薬品卸会社、リースか会社など諸々)は皆無に等しいです。そのため、資金調達の中心は公的資金つまり日本政策金融公庫や地方公共団体の制度融資制度(保証協会保証付)を活用することになります。

ただし、これらの制度を利用するにも、ある一定の自己資金が用意出来ない方には利用することさえ困難であるというのは薬局開業をされた方々であれば肌で感じられたはずです。

kaigyou-image2融資担当者の立場になった場合、お金を借りに来る人、例えば、一文無しですけど融資を受けたいと要求する人や事業計画書の見込利益が業界の相場と大きく離れている人だったら、お金を融資しますか?お金を貸したくても、回収見込がない場合には銀行や信用金庫の支店決済が下りるはずがないです。逆に自己資金がある方々の場合、銀行側からすると起業を決意されてから逆算し軍資金を貯めていた実績があるので、薬局開業されてもキッチリと返済はしてくれそうと思ってもらえるのが重要です。

自己資金は純粋な自己資金の他、親族 ・ 知人などからの『暖かい資金』の調達も含みます。1店舗目の資金調達は事業成功のリスクがありますから、出来るだけ返済負担の少ないものにしたいものです。私の個人的なオススメは、区や市で掲げている制度融資です。ご自身が薬局開業される地域を決定した場合、まずは区や市町村にどのような創業融資制度があるかを確認してみるべきです。例えば、豊島区の制度融資を利用すると、本人の金利負担割合は1%を軽く切ります。金利負担や融資限度額は各自治体の制度融資により異なりますが、どの区や市町村でも創業支援は手厚く、融資担当者も起業者の不安や希望を考慮していただける方々が多いように思います。創業を考えている方々は、先ずは自治体の制度融資を第一選択にしてみてはいかがでしょうか?必ず、良い結果を得ることができるはずです。

また、リースや割賦の制度も資金調達力が乏しいステージでは有効な手段となります。ただし、金融機関によってリース料率や割賦手数料率が大きく変わりますから、できるだけ利率の低い金融機関を選択する必要があります。

薬局経営を開始して薬局運営が軌道に乗り毎年利益がしっかりと出ている薬局の店舗展開は、実績が既にあるため銀行や取引先からの信用も徐々に構築できているため、都市銀行や地方銀行からの資金調達や店舗開発のソースを受取ることも多くなってくるはずです。ただし、銀行からの資金調達で注意したいのは返済期間です。

調剤薬局の出店時には、土地や建物を取得するケースは少ないですから、多くの場合、無担保借入に頼ることになります。

無担保であれ有担保であれ、理想的な返済期間は5年程度がベストと言われていますが、多くの場合、無担保借入で提示される銀行の条件は3年返済と言われているそうです(コチラは弊社での実績がないため、人からの又聞き情報です)。

ですから、この3年を何とか5年もしくは7年に延ばしてもらう交渉も必要となります。ただ、薬局事業が拡大し、薬局経営での実績が出ていれば5年もしくは7年での資金調達も十分可能になってきます。

また、金融機関からの借入だけではなく、「診療報酬債権」 を譲渡することによる資金調達も可能になってきます。この制度は、一般金融機関の他、損害保険会社やノンバンクなどが扱っていますが、やはり、手数料などの条件が大きく異なりますから、十分比較検討することが必要です。

私個人の見解としては、こちらの診療報酬債権を利用することは無意味だと思っております。調剤報酬は請求した月の支払分は、2ヶ月後には必ず支払基金から振込まれるので、事業計画書で運転資金をシッカリと調達できていれば何の問題もなく、無駄な手数料を支払う必要はないです。

さらにステージが進んでいくと、株式公開によって、直接に資金を調達する手段も視野に入ってきます。ただし、株式公開はオーナー会社にとって、会社の所有権の譲渡ということですから、慎重に検討しなくてはなりません。資金調達以外のメリット、デメリットを吟味することが肝心です。株式公開は資本市場から多額の資金調達も可能となり、一気に事業を拡大できる可能性もあります。

野心が旺盛な薬局開業を希望の薬剤師さんには、是非とも株式公開を目指し閉鎖的な薬局業界にカツを入れいってもらいたいですね。私も協力できる事はしますので、リレーション組める方々は一緒にやってきましょう!

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