【薬局経営指南】 第6回  調剤薬局会計について(続)Ⅱ

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薬局開業・新規出店などに必要な資金管理って?

今回は 「資金管理」 について考えてみます。調剤薬局tensyoku-image3を開業し、事業計画書の予測値と同じ推移で収益を得られれば、継続的な経営を行うに当たって、資金的に大きな問題はないと思います。ただし、調剤薬局だけではなく会社を経営する場合は、様々なリスクがあることに留意してください。

調剤薬局のキャッシュフローに関する主なポイントは、①売掛金の回収 ②買掛金の支払サイト ③在庫管理などが薬局開業した後の経営には重要になってきます。売掛金と買掛金のバランスですが、調剤報酬の入金は、レセプト(調剤報酬請求書)請求後、約 2ヶ月後と決まっております。 

 

ex)4月分レセプトを請求し、入金されるまでの過程について見てみましょう。

・4月末日までの来局患者様の請求分を、レセコンで電子請求用ファイル作成。

・翌月5月6日~10日の期間中に社保支払基金および国保連合会にレセプトデータの送信。

・翌々月6月中旬までに各支払基金にてレセプトデータの審査。

①請求データに保険診療上、問題が有⇒翌月6月上旬位までに、返戻患者さまのリストが送付されてきます。返戻事項を修正し、再度請求することは可能。

②請求データに保険診療上、問題が無⇒翌月6月20日前後に4月分が入金されます。但し、土・日・祝日の関係で入金日は前後しますが、毎月送付されてくる支払通知書内に2ヶ月先までの入金日が記載されております。

売上原価である医薬品仕入代金の支払サイトも 2ヶ月後とすれば、資金の入出金のタイミングは合うこととなり、事業計画書の数字を追うのには便利です。ただし、入金後にすぐ医薬品の仕入代金を支払うことになった場合、キャッシュフローがカツカツになり、個人で薬局開業をされた方々の立場からすると、銀行の預金残高が気になってしまい本業に集中できないと思います。私も肌で感じましたので、断言できます! 

しかし、医薬品業界は他業界と比較して恵まれていることのひとつに、医薬品卸業者の中には支払サイトを3ヶ月後にしてくれる会社もあります。この制度は、個人で薬局開業をされた方々にとっては、1カ月分の資金的余裕が生まれるため、医薬品卸に支払サイトを3ヶ月にしてもらえるならばしっかりと交渉しましょう。仮に信用がない個人には…ムリと言われた場合には、視点を変えたアプローチにより支払サイトを延ばしてもらうことは可能です。詳細を聴きたい方はお気軽にご連絡ください。 

ただし、支払サイトを3ヶ月にした場合のデメリットも何点かあります。例えば、価格交渉に関しては概ね医薬品卸の要望を聞いて上げるべきです。支払を遅らせるという事は、裏を返すと医薬品卸のキャッシュフローが1ヶ月悪くなるため、「薬価差益を20%出してください」、「商品1点のためだけに急配お願いします」などの医薬品卸にとってマイナスとなる要望は、極力控えた方が双方win-winの関係になっていけます。開業当初はキャッシュフローが厳しいので、3ヶ月の支払サイトで進めて利益がある程度出てきた段階で、2ヶ月の支払サイトに変更してあげる配慮があれば、卸との価格交渉でも良い結果を生みます。ビジネスを進めていく上で、片方だけがメリットが出れば良いという自分本位な考えでは、時が経つにつれ自分に降りかかってきますので注意して交渉してみてください。

もう一点は、調剤薬局の売上は多くの場合、季節変動を伴うため入金と支払のタイミングをずらすことは、一時的な資金的余裕が発生するとともに、一時的な資金不足を発生させかねないからです。

ex)具体的な数値で見てみましょう。

当月売上(=売掛金)が100、翌月が60だったとします。

当月仕入(=買掛金)は80、翌月が50です。先月は70としましょう。

支払サイトが 2ヶ月であれば、

翌々月の入金が100で支払は80ですから、20は資金増となります。

ここで、支払サイトが3ヶ月の場合、

翌々月の入金は100で支払は50ですから、50の資金増です。

しかし、翌々々月は、入金が60で支払は70

なんと、10資金不足が発生してしまいます。

実際には、経費や借入金の返済がありますから、大幅な資金不足となってしまいます。こういった事態は避けたいものなのです。

同じ理由で在庫管理も資金管理に重要な要素となります。理由は、もうおわかりですよね。もし、分からなかったらお気軽にご連絡ください。意外な事実が分かるかも知れません。

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