【薬局経営指南】 第5回  調剤薬局会計について(続)

薬局開業・新規出店などに必要な資金って?

今回は財務計画について考えます。その中心は、投資と資金調達です。

調剤薬局における資金投資とは、新規出店もしくは既存店買収(M&A)の事を指します。

今回は、単純に投資額と資金調達のバランスについて検討してみます。

1店舗を新規出店するに当たり必要とされる資金の内訳は、

○店舗賃借費用

○店舗内装費用

○看板

○駐車場賃借費用

○駐車場整備費用

○調剤室用什器備品

○調剤機器

○レセプトコンピューター

○初回医薬品購入費用

○3ヶ月程度の運転資金(保険収入は2ヶ月後の入金となるため)

など様々なお金がかかります。

土地を購入して建物を建築するというケースもありますが、調剤薬局の収益構造から考えると、1日の処方枚数が100枚以上の発行される可能性がある優良案件ではないと、開業するべきではないと考えます。全てのケースが当てはまるとは言えませんが、投資金額の回収期間を考えると100枚以下は長期スパンで見ないといけないですね。

kaigyou-image2投資金額は諸条件にもよりますが、平均的相場は約2000~3500万円の範囲内ではないでしょうか。これらの投資内容を償却期間でみると、建物関係は耐用年数が長いのですが、調剤室用備品や調剤機器、レセプトコンピューターは4~6年程度と短めです。在庫は営業を続ける限りそのまま存在しますから、償却するということはありません。3ヶ月程度の運転資金は、調剤報酬の支払構造より薬局経営には不可欠な資金です。以上のように、投資対象の償却期間は様々あります。

必要な資金はどうやって調達すればいいの?

この投資の資金調達はどうすれば良いのでしょう。自分が食っていけるだけで問題ないと考えている経営者であれば、 1店舗のみの開業だけで済むので、初めが大変なだけで順調に運営出来れば問題ないですね。

調剤薬局の出店は、基本的に無担保による資金調達が原則です。従って、無担保の枠をどう有効に活用するかが資金調達のポイントです。

まず、自己資金や親族等から調達した資金があります。これは、当初 3ヶ月の運転資金に充当します。さらに、開業後の予備として一部は手元に留保します。

金融機関からの無担保による資金調達は、日本政策金融公庫もしくは開業予定地の制度融資を利用した信用保証協会保証付き借入であれば割とスムーズに融資の実行をしてもらえると思います。 

独立開業の場合でも調達は可能ですし、店舗展開の場合は既に収益を上げている薬局であれば、銀行からの信用されており追加融資を受けることが可能となります。しかも、返済期間は 5年以上も可能となりますから、この資金は固定資産関係に充当します。

次に、リース・割賦の方法があります。独立開業の場合は難しい場合もありますが、レセコンの納入業者を経由すれば、比較的容易にリース等を組むことが出来ます。信用力がアップして来たら、こちらからリース会社を選択したいですね。この調達方法は調剤機器やレセコン向けです。

以上のように、資金調達方法とその投資対象をひも付けして考えることが必要です。

そして、どの資金が調達可能でどの資金が足りないか、その対策はどうするか、このあたりが財務計画のポイントです。この財務計画は次回の資金計画と密接に関連します。

但し、医療業界というのは事業計画上の金額以外にも様々な経費が掛かる場合があります。非常にデリケートな内容であるため、本コラムでの執筆することは控えさせていただきますが・・・

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