【薬局経営指南】 第14回 薬局開業の準備について(続)Ⅴ

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利益とキャッシュフローって何が違うの?

Sさんとの薬局開業に向けた打合せも佳境に入ってきましたね。調剤業務とは違う社長業に直結するお金の説明ばかりで、Sさんの頭はグルグルと混乱してきているのではないですかね。kyuusai-image1k

S:「薬局経営絵で利益を出すことと、キャッシュフローを生み出すこと、これは同じことではないのですよね?」

C:「そのとおりです。『利益』とはあくまでも計算上の概念です。これに対して 『キャッシュフロー』は「資金」 というある意味絶対的な存在で、不足すると倒産することを意味します。両者とも「儲け」を表す概念ですが、その内容は異なってきます。」

S:「前回のお話のように、患者さまにたくさん来局いただいて売上を伸ばしていても、手持ちの現金が枯渇するということがあり得るわけですね。」

C:「昔から 『勘定合って銭足らず』 という諺があるように、利益とキャッシュフローの不一致は、経営者の方であれば誰しもが通る道で非常に頭を悩ます問題です。利益は、『調剤報酬金額(売上)-医薬品購入代金(売上原価)-人件費・家賃等固定費用及び変動費用(経費)』 という算式で計算しますから、売掛金や買掛金の有無、在庫の増減、借入金による資金調達やその返済等々は対象となりません。前回にお話したように在庫を増やしてでも値引率の高い現金問屋からの仕入を増加させれば、利益は確保出来ます。ただし、キャッシュフローは現金の流れを示しているので、安いからと一時期に大量の仕入を行えば、資金繰りは悪化します。全く利益がない状態でも借入金を行えば、資金繰りは好転します。まず、一致するはずがないですよね。」

 S:「なるほど…。ひとつ質問ですが、薬局が繁盛するのは嬉しいのですが、ネットなどで調べると大幅に利益が出ていたり、売上が増大したら、高い税金を納めなくてはならないと書いてあります。知識不足で分からなかったのですが、税金の対象になるのは、利益ですか、キャッシュフローですか。」

C:「Sさんも経営者視点が、磨かれてきておりますね!非常に良い着眼点ですね。単刀直入に言いますと、税金の対象は『利益』です!

S:「そうしましたら、薬局が繁盛していても調剤報酬が振込まれるまで時間がかかるので、決算書上、儲かっていてもお金がない状態が続くのですが…。事業税や固定資産税、住民税など諸々の税金を支払ってくださいと連絡があるのですか。汗水たらして頑張って稼いだ報酬が、次々となくなるのは寂しい気持ちになってしまいますね。」

C:「コレが現実です。起業するという事は、社会貢献が必要ですので稼いだ分は、しっかりと税金を納めることは将来の日本を助ける事にもなるのですよ。税金を納めることが必ずしも悪いことではないです。利益を出さないと、金融機関に対する信用力が出来ませんし、その結果、借入金による資金調達も出来なくなります。キャッシュフローの原点は『利益』なのですから、『利益=悪者』という勘違いはしないで下さいね。今回のポイントは、利益とキャッシュフローは別物ということを理解すること、その上で、利益を出しながら、キャッシュフローもプラスにしていくことが重要です。コレを実現するのに必要なのが、『資金繰り表』です。」

S:「それはどういうものなのですか。」

C:「簡単に言えば、資金の流れをフロー化したもので、月々の資金に不足が出るのか出ないのかをシミュレーションする表と言えます。勤務薬剤師では触れる事のない売掛金や買掛金への問題点もこの表を作成し、触れる機会を増やしていけば自然と理解できるようになります。」 

S:「今度、資金繰り表の作り方を教えてください。」

C:「分かりました。資金繰り表の作成は、実際に薬局許可証が発行され、保険指定申請を受けた後の薬局運営を始めてからでも良いでしょう。まだまだ、スタート地点にも立てていないので、先ずは開業準備に注力してください。」

S:「了解です!薬局開業をするのは、調剤だけを行ってきた今までの光景とはかなり違いますね。調剤薬局の経営も、いろいろと勉強しなければならないようだし、今から頭がパンクしそうでヤバいですよ…。ただ、自分の城を作るという事を考えれば、嬉しい悲鳴だと思って頑張ります。Cさんのおかげで、あと少しで薬局開業ができるという実感がでてきました!まだまだ、分からない点が出てくると思いますのでまた、相談に乗ってください。」 

C:「もちろんです。開業の成功をお祈りしています。」

S:「ありがとうございました。」

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