【薬局経営指南】 第13回 薬局開業の準備について(続)Ⅳ

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薬局開業の準備も進んでいるが、医薬品卸との取引はどうすればよいの?

薬局開業に向けた準備も進み店舗レイアウトやレセコンの選定、調剤備品の選定などが着実に前進している実感を得られています。特に、調剤備品は一般的な家具や電化製品などと比較すると金額が高く、ゾッとすることがありますね。薬局経営をされていない独立希望の薬剤師さんには、調剤棚がどのくらいするのかイメージできる人は少ないと思います。下記はネット通販でも購入可能な調剤棚の価格を記載しますのでご参考程度に見てください。

2014年定価:130,000円(税抜)32%OFF ⇒ 95,400円(税込)
2014年定価:180,000円(税抜)33%OFF ⇒ 130,200円(税込)
2014年定価:132,000円(税抜)33%OFF ⇒ 95,500円(税込)
 
調剤棚の金額はいかがでしたか?上下の調剤棚を揃えると、約23万円で錠剤を収納できる品目数は約150~200品目と勘案すると、1店舗あたりの医薬品平均備蓄数は500~700品目と言われているので、調剤棚の購入だけで80~100万円程度掛かる場合がありますね。調剤棚以外にも調剤分包器は1台300万円(定価)前後しますので、薬局開業は初期投資額が大きくなりますので、如何に知恵を振り絞って初回投資金額を削減できるかが、1日でも早く単月黒字を達成する事が出来るかの可否になります。コチラは薬局開業を決意した薬剤師さんのウデに掛かってきますね。
 
さて、本題に入りますと、薬局開業の準備が順調に進んでいるSさんは、初回医薬品仕入の準備と開業後の仕入の際に取引する医薬品卸についてどうするかで、悩んでいるとのことです。勤務薬剤師の頃は、価格交渉や医薬品選定などの面倒な事は社長もしくは本社の幹部が携わっていたので、気にしていなかったためどうやって交渉すれば自分にアドバンテージを取ることができるか分からず悩んでいました。また、SさんとCさんの会話で見ていきましょう!
 

index-image3S:「現在の勤務先の取引医薬卸であるA社に今後の取引について相談してみましたが、個人での薬局開業のせいかなかなか納得のいく割引率を出してくれません。これなら、現金問屋からまとめて購入した方がいいと思っていますが、いかがでしょうか?」

C:「まず、確認したいのは、分業予定クリニックには使用薬剤の確認はされましたか?」 

S:「もちろんです。分業予定クリニックの院長先生は若いですが、学会にも積極的に参加され、国際的な治療水準での医療を提供したいとお考えの先生で、先発医薬品のみならず、ジェネリック品についても患者さまの意向で使用されているとのことで、患者さまからの評判も良いです。」

C:「そうですね。窓口の負担金が3割とは言え、医療用医薬品は高いですから患者さまの経済的負担が軽減されるので、きっと喜ばれることでしょう。ただし、ジェネリック医薬品のみでは薬価が下がることになりますから、薬局経営に深刻なダメージを与えることも理解してください。後発医薬品の納入時には医薬品卸との交渉は強気で利益確保に努めるようにしてください。立派な経営者になるには避けては通れない道ですから大変でもしっかりとやりましょう!」

S:「そうすると、やはり現金問屋との取引を検討した方が良いですね。」

C:「残念ながらそうとは限りません。単に価格だけの問題であれば現金問屋の方が、医薬品卸を通した一般的な流通経路の取引より有利な場合があるでしょう。しかし、現在では2年毎の薬価改定により昔ほど薬価が残っていない医薬品も多く値引き率が悪いため、納入価格のみを考えた場合でも有利になるとは限らないので、慎重な判断が必要です。それを踏まえ、現金問屋を利用することで問題になるのは、資金繰り・欠品の可能性・期限切れによるロスの発生が出てくるという事です。」

S:「どういうことですか?」

C:「まず、資金繰りの問題です。調剤薬局の調剤報酬金額は3割程度を患者さまの窓口負担金で徴収し、残り7割は社会保険支払基金や国保連合会などにレセコンにて調剤報酬を請求後、2ヶ月後に入金されます。この原価である医薬品の仕入を現金取引で行うと、常に医薬品仕入代金の支払いが先行することになります。つまり、2ヶ月分の仕入代金の用意が常に必要となります。逆に、医薬品卸との支払サイト条件を調剤報酬の振込予定日である2ヶ月後にしておけば、窓口負担金と調剤報酬の入金と医薬品仕入の代金に関する支払い時期が一致してきます。したがって、医薬品仕入にかかる運転資金の心配はほとんどなくなります。初回購入時のみは、3ヶ月後に支払うなど医薬品卸と様々な交渉をして有利に取引をしてもらいましょう!医薬品卸は敵ではなく、薬局開業を成功させる上で欠かすことのできない大切なパートナーです!価格を安くしろと命令形で言われる担当者の立場に立った対応をしていけば、近い将来に幸運な出来事が起こりますよ。」

S:「了解しました。でも、安い医薬品をまとめて購入した方が利益は大きいですよね。」

C:「利益とキャッシュフローの問題ですが、確かに、現金問屋で激安の医薬品を購入すれば、計算上の利益は大きくなります。ただし、医薬品購入のためには資金が必要ですから、その資金が不足すれば、資金調達の検討も必要となります。要するに、利益が出てもキャッシュフローはマイナスの可能性があります。毎月の在庫管理も大変ですので、私はあまりオススメはしないです。現金問屋から購入した場合には、医薬品卸のMSへの実績が全くなくなってしまうため、良好な関係を構築するのは困難ではないでしょうかね。薬価差益が出ない時代のですので、持ちつ持たれつの上手な関係で薬局経営をされるのが良いと思います。また現金問屋では、買いたい時に買いたい医薬品があるとは限らず、欠品の危険性があります。また、安いからと行って大量に買い込み、その結果、購入薬品が期限切れとなり、思わぬロスが発生する可能性があります。一般流通の医薬品卸を通すことにより、新品未開封品であれば期限切迫でない限りは返品が可能な医薬品もあるというメリットが一番大きいですね!」

S: 「それでは、やはり、100%医薬品卸との取引がよろしいのでしょうか?」

C: 「概ね100%医薬品卸との取引で問題になることはないです。仮にキャッシュフローに余裕が出てきた場合には、現金問屋を活用した積極的な薬局経営をすることも良いと思います。しかし、大口の取引相手に差し障りのない範囲であれば、現金問屋からの購入は肯定できることです。医薬品卸に対して、たった数%の値引き率をケチるような薬局経営をしているようであれば、将来性はないでしょうね。薬局経営は自社単独で行われている訳ではなく、様々な取引相手(クリニック、病院および医薬品卸)とパートナーシップを持ちながら経営する姿勢が合った方が、確実に将来的な見返りが来ますね。」

S:「ありがとうございます。次回は、利益とキャッシュフローについて教えてください。」

C:「了解致しました。」

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